この記事では、中古マンションを買う時に、人々が通常どのくらい古い建物を選んでいるのかについて紹介します。
さらに、マンションの寿命や購入時のポイントについても詳しく説明します。
中古マンションは築20年頃が買い時とされる理由
実際には、築20年ほどの古いマンションを購入するのは適切なタイミングと言われることがあります。
この記事では、その理由を3つに分けて詳しく説明します。
建物部分の価値は25年ほどで下げ止まる
通常、中古マンションは築10年を過ぎると、その価値は新築販売時の70~80%程度まで下落します。
そして、経年劣化によりますます価値が低下し、築25年頃には下がり幅が緩やかになる傾向が見られます。
そこで、築20年程度であれば、価格の下落幅がそれ以上に緩やかになることが多いと言えます。
新築と比較すれば、価格は半額近くまで下がることもありますが、一方でより古い物件と比較すれば、状態が良い場合が多いため、バランスの取れた選択肢とされるのです。
新耐震基準に適合している
中古のマンションを購入する際には、耐震性も非常に重要な要素となります。
日本では1981年に耐震基準が変更され、従来の基準からより厳格な基準へと変わりました。
新基準では、地震の想定震度などの基準が大幅に厳しくなっています。
マンションは一戸建て住宅と比べると、築年数が長いものが多いです。
そのため、古い物件では従来の耐震基準で建てられているものも多く存在します。
ただし、旧基準の物件であっても、耐震補強などが行われていれば必ずしも耐震性が低いとは限りません。
しかし、安心感を求めるのであれば、やはり新耐震基準で建てられている物件を選ぶべきです。
一般的に、築20年程度の物件はほとんどが新耐震基準で建てられていますので、耐震性の面で安心感があります。
それに対して、さらに古い築40年以上の物件と比べると、耐震性についての心配は大幅に軽減されます。
好立地の物件が多い
駅のすぐ近くや利便性の高い場所には、古いマンションがたくさん集まっています。
なぜなら、都市の開発の観点から考えると、駅の周りから順番に建物が建てられるのが自然だからです。
また、マンションは一戸建て住宅と比べて、建て替えたり取り壊したりするのが難しいため、一度建てられたら長い間その場所に残ります。
そのため、人々は好立地条件を重視してマンションを探すと、自然と20年以上経過した物件が候補に入ることもよくあります。
中古マンション市場では、立地は大きな価値を持つ要素なので、アクセスや利便性の良さを重視して築20年以上の物件が人々に購入されることもあります。
マンションの寿命はどのくらい?
不動産を購入する際に気になる点の一つとして、建物の寿命があります。
建物の寿命とは、その建物が耐えられる期間のことを指します。
中古マンションを購入する場合、建物の寿命についても注意が必要です。
建物の寿命
マンションの主要な建材であるコンクリートは、適切なメンテナンスが行われれば、100年以上も続くことができると一般的に言われています。
実際、国土交通省のデータによると、鉄筋コンクリート造りの建物は物理的な寿命が117年とされています。
さらに、平均的な寿命を考えると、鉄筋コンクリートの住宅は68年、事務所では56年となっています。
このように、建物自体の寿命を考慮すれば、築20年以上の中古マンションでも、まだ快適に住むことができるでしょう。
築50年あたりで建て替えを検討されることもある
鉄筋コンクリート造のマンションは、長い期間は60年以上持つことができますが、実際には築50年ほどで建て替えが行われることがあります。
この理由は、築50年以上のマンションが旧耐震基準で建てられていることが大きく関係しています。
旧耐震基準の物件を現行の基準まで改修するには、大規模な耐震補強が必要であり、非常に高額な費用がかかります。
そのため、一度費用をかけるのであれば、「建て替える方が効率的である」という判断が多いのです。
2023年時点で建てられたマンションは、最も古いものでも築40年程度であり、新耐震基準で建てられたため、今後は建て替えの平均年数がさらに延びることも考えられます。
築20年以上のマンションを購入する際に注意するポイント
マンションの耐久年数は、管理状態やメンテナンスの程度によって大きく異なります。
つまり、中古マンションを購入する際には、築20年ほど経っているものに注目する必要があります。
では、具体的にどのような点に注意すれば良いのでしょうか。
適切な修繕が行われているかどうか
マンションの定期的なメンテナンスについて、最初に確認しておきたい点は、「大規模修繕工事」の計画と実施履歴です。
大規模修繕工事は、建物や設備の経年劣化に応じて計画的に行われる工事のことであり、国土交通省のガイドラインによれば、通常は12〜15年ごとに実施されることが推奨されています。
この工事を定期的に行うことで、建物の寿命を延ばし、資産価値を保つことができます。
したがって、大規模修繕工事の実施状況は必ず確認しておく必要があります。
また、国土交通省のガイドラインでは、30年間で少なくとも2回の大規模修繕工事が行われることを想定しており、長期的な修繕計画を立て、その計画に基づいてメンテナンスや修繕を行うことが推奨されています。
例えば、築20年ごろでは、通常は1回目の大規模修繕工事が終了し、2回目の工事に向けた計画が進行中であることが多いです。
そのため、修繕の履歴だけでなく、今後の計画も確認することが重要です。
修繕履歴だけでなく、計画に基づいて修繕が行われているかどうかも確認しておくと良いでしょう。
修繕積立金の金額と積み立ての状況
修繕積立金は、建物の大規模修繕工事や定期的なメンテナンスに使用するための資金です。
一般的に、一回の大規模修繕工事に必要な費用は約100~120万円とされています。
この費用は、住戸ごとの修繕積立金からまかなわれます。
そのため、中古マンションを購入する際には、修繕積立金がしっかりと集められているか、また積み立ての状況がどのようになっているのかを事前に把握することが重要です。
修繕積立金の目安金額は、国土交通省のガイドラインによって示されています。
例えば、10階建ての中規模マンションでは、一戸当たりの修繕積立金は大体1万4,420~2万4,920円とされています。
この金額を基準として、購入予定の中古マンションの修繕積立金が適切かどうかを確認しておくことが良いでしょう。
また、現在の修繕積立金の状況は、不動産会社を通じて該当の中古マンションの管理会社に連絡すれば確認することができます。
彼らは、積み立ての状況や金額について正確な情報を提供することができます。
空室や賃貸比率状況
あまり一般的に知られていない事実ですが、マンションの寿命は建物の空室率にも関係しています。
それはなぜなのでしょうか?その理由は、空室率がマンションの修繕積立金や管理費が適切に集められているかどうかを判断する指標となるからです。
もし空室が多い場合、修繕積立金が中々集まらず、メンテナンスがおろそかになる可能性もあります。
さらに、大規模な修繕工事の費用が不足していて、購入後の修繕積立金が高くなるリスクも存在します。
このように、空室率が高いと建物の状態が悪化しやすくなるのです。
また、実は建物は人が住んでいない状態の方が劣化しやすい性質を持っています。
そのため、入居率が十分に確保されているかどうかも事前に確認しておくことが重要です。
配管などの建物構造
築年数が古いマンションを購入する際には、特に注意が必要なのは配管の構造です。
古いマンションでは、配管がコンクリートの中に埋め込まれている場合や、購入予定の部屋の下に通っているかもしれません。
これは、リノベーションを行いたくても、配管の交換ができない場合があります。
さらに、天井裏を通っている場合には、下に住んでいる階の入居者からの許可を得なければならないなどの問題や手続きが増えます。
トラブルを未然に防ぐためにも、中古マンションを購入する際には配管の構造も念のために確認しておくことが重要です。
これにより、将来リノベーションを行いたい場合にも配管交換が可能かどうかを事前に判断することができます。
また、天井裏を通っている場合には、下の階の入居者との合意を得るための交渉や手続きも予め準備できます。
配管の構造についての確認は、安心してマンションを購入し、将来の計画をスムーズに進めるためにも重要なステップです。
まとめ
成約した中古マンションの平均築年数は、2022年の東日本不動産流通機構のデータによると「23.33年」です。
一般的には、価格が下がりにくくなるのは築20年くらいの物件です。
ただし、物件の状態はメンテナンスや管理の具合によって異なるため、各物件ごとに細かく確認することが重要です。
中古マンションを購入する際に注目すべきポイントはいくつかありますが、特に注意すべきなのは修繕履歴や修繕積立金の状況です。
マンションの修繕が適切に行われているか、また修繕のための積立金が適切に積み立てられているかを確認する必要があります。
また、空室の状況も重要なポイントとなります。
不動産会社を通じて管理組合に連絡し、空室の状況を確認しておくことも重要です。