自然豊かな土地は、現代人の中にはスローライフなどの新しい生活様式を模索している方たちにとても人気の不動産です。
しかし、そのような土地が土砂災害の危険が高い「砂防指定地」である場合には、住宅建設に関して大きな規制がかかります。
不動産の取引時には、「その他の法令に基づく制限」についての情報が重要事項説明書に記載されています。
この中には、「砂防法」という法令に基づく制限事項が含まれることがあります。
砂防法で指定された地域は砂防指定地と呼ばれ、各都道府県ごとにわずかな違いはあるものの、土地の改変に関する禁止事項が明確に定められています。
砂防指定地域は、どのような条件を満たす土地が指定されるのか、さらにそのような指定地域において住宅地を造成するためにはどのような手続きを踏む必要があるのかについて、以下で詳しく説明します。
砂防法とは
自然災害や河川の侵食によって地盤が不安定になり、土砂崩れや土石流が発生しやすい地域が存在します。
こうした土地に建設や工事が行われ、地形が変化すると、大規模な気候変動時に致命的な災害につながる可能性があります。
特に最近では、地震や台風による被害が深刻化しており、自治体は迅速な対応が求められています。
砂防法は、危険が指摘される地域で工事や建設を制限し、人命を守り環境破壊を防ぐことを目的として制定されました。
日本特有の法律であり、急峻な山や急流の多い地域では、昔から地すべりなどの被害が起こってきたことから生まれたものです。
砂防法において、以下のような地域が指定されています。
– 土砂崩れの危険性が指摘されている地域
– 砂防ダムが設置されている地域
– 治水を目的として地形の変更が制限されている地域
これらの地域は「砂防指定地域」と呼ばれており、国土交通大臣が指定しています。
さらに、都道府県知事も管轄する砂防指定地域において、独自の制限を課すことが可能です。
一部の場合、砂防指定地域で宅地造成を試みるケースもありますが、これらの地域は危険なエリアとして認識されています。
普段から立ち入ったり、地盤を掘削したりすることが厳しく規制されているため、注意が必要です。
法的に、危険が高い地域に居住させることが許可されていないため、宅地造成が難しい地域と言えます。
同時に、道路建設や森林伐採も制限されているため、多くの砂防指定地域は人が手を入れていない山間地域に広がっています。
これらの地域に手を加えることで、河川災害の拡大を防ぐことも狙いの1つとなっています。
砂防指定地内で制限される行為
砂防指定地域とは、通常、高い土砂災害のリスクがあるため、崖や河川に近いエリアを指します。
これらの地域では、土地を変更する活動が許可されていません。
たとえば、住宅地の建設、農地の開墾、砂防措置に関わる施設の整備、河川の氾濫が予想される地域に土砂を捨てる、竹林を伐採したり地面を引っ張って運ぶ、砂や礫、鉱物の採取、不要な草を刈るなどが禁止されています。
これらの活動は地盤が弱い箇所に人間の干渉が入り、土地が削られることで不安定になり、結果として災害の危険性が高まるからです。
特に大雨などの際に、多くの人々が危険にさらされる恐れがあります。
このような状況を避けるため、これらの活動は厳しく制限されています。
もし、これらの活動を行う必要がある場合は、都道府県知事の許可が必要です。
ただし、法令は全ての地域で同じではなく、山や河川の状況や各地域の環境によって異なります。
したがって、制限事項も場所によって異なることがあります。
どのような活動を行うかの判断は、各管理する都道府県に委ねられています。
たとえば、他の県で許可されている住宅地の建設でも、自身の居住地で認められない可能性があります。
実際に現地を調査しないと、どれほどの制限があるかは分かりません。
地形や土壌の調査結果に基づき、適切な判断が下されます。
砂防法はどうやって確認する?
土地の情報を収集する際には、まず最寄りの土木事務所を訪れることがおすすめです。
県の規定により、砂防指定地域の台帳は土木事務所が管理しています。
必要な土地の住所や登記簿などを持参して窓口に訪れ、その土地が砂防指定地域に該当するかすぐに調査することができます。
地図に記載されている場合もあり、詳細な情報を得ることができます。
土木事務所の場所が分からない場合は、自治体の総合窓口で案内を受けることができます。
自治体が発行している「暮らしの便利な冊子」には、公共の窓口の一覧がまとめられており、地域の役所から入手することが可能です。
必要なときに備えておき、申請すれば手に入ります。
さらに手軽な方法としては、携帯電話で「○○県砂防指定地域」と検索すると土地の一覧が表示されるので、時間がない場合はこの方法も有効です。
ただし、土木事務所が管理している台帳を調べてもらうことで、より詳細な情報を得ることができます。
まずはインターネットを活用して情報を調査し、必要に応じて窓口での調査を依頼することが効率的と言えます。
砂防指定地に家を建築するためには
砂防法に基づいて砂防指定地に住宅を建てることは許可されていませんが、なかには土地の価格が安いため、宅地として利用されたいという希望もあります。
安全を考慮に入れ、禁止地域に住居を構築する場合、どのようにすれば良いのでしょうか。
その方法として、都道府県に申請を行い、知事の許可を得ることが挙げられます。
知事が宅地造成を許可すれば、その地に住宅を建てることが可能です。
申請手続きには、各都道府県が指定する書式を入手し、必要事項を記入し、書類を提出する過程があります。
条例に違反しないことが判断されれば建設許可が下ります。
一部の地域では、既に宅地として整備が進められている場合や、土地改良が軽微と認められる場合には申請が不要な場合もあります。
しかし、新たに施設を建設する場合には追加の申請が必要となりますので、こちらには注意が必要です。
詳細については、地元の砂防事務所と呼ばれる自治体の部署に直接問い合わせてみることをお勧めします。
まとめ
砂防法で指定された砂防指定地域は、通常、住宅地などに利用することが許可されていません。
その理由は、その地域が地盤が不安定で危険な場所であるためです。
しかし、知事の許可を取得すれば、その地域を宅地として利用することが可能です。
このような地域を利用するメリットとしては、価格が比較的安いことが挙げられます。
もし宅地として利用したい場合は、建築会社などの専門家に相談することをお勧めします。
建築会社や建築事務所と協力すれば、土地改良の方法について助言を受けることができます。
ただし、土地購入は大きな決定であり一生の買い物になりますので、情報を慎重に収集し、リスクをしっかりと考慮した上で検討することをお勧めします。