戸建てとマンションのどちらを購入するか迷っている際に、一つの参考となる要素は、物件ごとにかかる維持費です。
戸建てとマンションでは、費用が何となく異なることは分かっているが、具体的な生涯コストの差を計算したことがない方もいらっしゃるでしょう。
そこで、本記事では、戸建てとマンションの維持費にかかる生涯コストと内訳を比較してみたいと思います。
将来的に家を購入しようと考えている方は、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
マンションの維持費が高い
まず、戸建てとマンションの維持費について比較してみましょう。
結果として、30年間の維持費で戸建ては626万4000円かかりますが、マンションは1220万8530円かかることがわかりました。
もちろん、物件によって費用は異なる可能性がありますが、一般的に言えることは、毎月の管理費や修繕積立金を支払う必要があるマンションの方が、年間約20万円ほど維持費が高いということです。
それぞれの維持費の特徴について考えてみましょう。
まず、戸建ての場合、数年に一度の修繕のタイミングで一気に費用がかさむ傾向があります。
一方で、マンションの場合は毎月修繕費用や管理費を積み立てる必要があるため、費用がじわじわとかさんでくることが分かります。
また、マンションの場合は住民全員で修繕計画や費用を決定しますが、戸建ての場合は自分自身が判断し修繕のタイミングや内容を決めることができます。
したがって、ライフプランに合わせて修繕のタイミングや費用を変えることができる戸建ての方が、費用面での融通が効くと言えるでしょう。
共通する維持費
まず、戸建てとマンションで共通の維持費について詳しく説明します。
維持費とは、建物や住宅の日常的な運営や管理にかかる費用のことを指します。
このランニングコストは、地域によってはかからないこともありますが、基本的には必要となりますので、予め確認することが重要です。
固定資産税
固定資産税は、建物や土地などの固定資産を所有している人が毎年1月1日時点で支払う税金です。
この税金は年に1回、または年4回に分割して支払うことができます。
固定資産税の税額は、「固定資産税評価額×1.4%」という計算式に基づいて算出することができます。
固定資産税評価額とは、不動産鑑定士が3年ごとに見直しを行い、固定資産税を計算するための基準となる評価額のことです。
この評価額には土地の価値や建物の価値などが含まれています。
また、建物に関しては、鉄筋コンクリートで造られたマンションの耐用年数は47年であり、一方で木造の戸建て住宅の耐用年数は22年とされています。
そのため、マンションの場合は木造戸建てよりも耐用年数が長く、固定資産税評価額が高くなる可能性があります。
このように、固定資産税は所有者が建物や土地を持っている場合に支払われる税金であり、評価額や耐用年数などに基づいて算出されます。
毎年の支払いや分割払いなど、税金の支払い方法については選択肢がありますので、注意が必要です。
都市計画税
都市計画税とは、主に都市計画事業や土地区画事業の費用をまかなうために課税される税金です。
固定資産税と同じく、毎年1回もしくは4回に分割して支払います。
都市計画税は、都市計画法に基づき、所有する建物と土地が市街化区域内にある場合に課税されます。
市街化区域は、都市計画法が指定する特定の地域であり、既に市街地となっている地域や、将来的に市街化が進む予定のある地域を指します。
都市計画税の税額は、固定資産税評価額に上限税率0.3%をかけることで算出することができます。
ただし、都市計画税は市街化区域に建物と土地を所有している人にのみ課税されるため、該当しない地域では都市計画税はかかりません。
維持費を検討する際には、課税されるエリアかどうかを確認しておくと良いでしょう。
確認方法としては、自治体の窓口や不動産会社に問い合わせることが適切です。
保険料
住宅を購入する際に一緒に考える必要があるのが、火災や自然災害に備えるための保険である火災保険です。
火災保険の他に、地震の多い日本では地震保険にも加入する人が多く、不動産の維持費を考慮する上で欠かせない費用です。
保険料に関して言えば、戸建てとマンションを比較すると、戸建ての方が一般的に高くなる傾向があります。
その理由は、先ほど述べた通り、マンションの方が法定耐用年数が長く、火災や自然災害の被害を受けにくいと判断されているからです。
だからこそ、マンションの火災や自然災害によるリスクは戸建てよりも低いのです。
具体的な例を挙げると、築年数が10年未満で専有面積が100㎡の東京都内のマンションの場合、年間の保険料は約35,000円から40,000円程度が一般的です。
数年分を一括で支払う場合には割引が適用されるので、支払方法によっても保険料は変動します。
一方、同じ築年数で居住地域と専有面積が同じ木造の戸建てに保険をかけると、保険料は65,000円から75,000円ほどかかります。
戸建てだけにかかる維持費
戸建ての場合、維持費として考えられるのは、外壁や屋根などの塗装や修繕費用、さらにはシロアリ対策を兼ねた床下の修繕などです。
一方、マンションでは大規模修繕工事が一括で行われるため、自分で施工業者を手配する必要はありません。
ただし、戸建ての場合はすべて自己責任で修繕を行う必要があります。
どんな建物でも、経年による劣化は避けられません。
そのため、マンションでも厳密には「修繕積立金」という形で修繕費用がかかりますが、タイミングや費用の内訳は異なることに注意しましょう。
これらの周期や費用は施工業者や地域によっても異なりますが、アットホームの調査によると、35年間で修繕が最も多かった箇所は1位の「外壁」で84.4%、2位は「給湯器」で83.2%、3位は「トイレ・お風呂」で76.0%となっています。
築年数によって異なりますが、30年間で戸建てのみにかかる修繕費用は360万円になります。
新築物件の場合、しばらくは修繕費用が必要ないケースが多いですが、将来のためにも今から毎月、自分のペースで修繕費用を積み立てておくことをおすすめします。
マンションだけにかかる維持費
これまでの説明で、戸建て住宅とマンションに共通するランニングコストについて詳しくお話ししました。
今度は、少し前の章でも触れたマンションの修繕費用について詳しく説明していきます。
この修繕費用は、マンションに住んでいる方が毎月支払う必要のある費用です。
したがって、マンションを購入する際には、検討するうえでの判断材料の一つとして重要なポイントです。
管理費
マンションの管理費は、住民が共用部分を快適に利用するためにかかる費用です。
具体的には、ごみ置き場や廊下などの清掃業務、自動ドアやエレベーターの電気代やメンテナンス、植物の手入れなどに使われます。
これらの設備や施設の維持管理は、管理会社によって行われるため、住民は毎月管理費を支払う必要があります。
マンションの共用部分は、住民が日常的に利用する場所であり、快適な環境を保つためには、定期的な清掃や設備の点検・修理が欠かせません。
そのため、管理費はこれらの費用をまかなうために必要とされています。
住民が快適に暮らすためには、管理費を正しく支払うことが重要です。
修繕積立金
修繕積立金とは、建物が老朽化して快適に暮らす環境を維持するために、大規模な修繕費用を蓄えるための費用です。
この費用は、通常は建物の外壁や屋上の塗り替え、配管設備の管理、防災設備の修繕などに使用されます。
修繕には高額な費用がかかるため、住民は毎月管理組合に支払いをしながら蓄えていく必要があります。
マンションの修繕積立金の平均額は、東日本不動産流通機構によると月に約11,071円です。
しかし、注意が必要なのは、築年数が経つにつれて修繕積立金が値上げされるケースが多いということです。
多くのマンションでは、修繕費用の増加に備えて、数年ごとに修繕積立費用を増額する方式を採用しています。
この方式は、所有者がその時点での修繕費用を支払う考え方であり、新築マンションの場合に初期費用を抑えたい販売会社がよく取る方式です。
しかし、大規模修繕の際には、管理組合に積み立ててきた修繕積立金が不足する場合もありますので、その際には一時金を負担する必要が出てきます。
したがって、将来的にマンションの修繕積立金はほとんどの場合で値上げされるため、老後に支払いが心配な方は、事前に自分で積み立てておくことをおすすめします。
これにより、一時金の負担も含めて将来的な修繕費用に備えることができます。
駐車場・駐輪場代
マンションの駐車場費用は、マンションに住んでいる場合に支払わなければならない費用です。
この駐車場費用は、管理費や修繕積立金とは別に発生します。
一般的な相場として、首都圏では毎月5,000〜30,000円程度がかかると言われています。
もしマンションに30年間住むことを考えると、一生涯で180万円〜1,080万円の費用がかかることになります。
相場が高い地域では、住宅ローンの返済が終わっても、管理費や修繕積立金に加えて駐車場費用も支払わなければならない可能性があります。
また、自転車を所有している場合には、駐輪場の使用料もかかることがありますので、注意が必要です。
現在車を所有している方や将来的に車を購入する予定のある方は、駐車場費用も維持費として考慮しておくことをおすすめします。
まとめ
おそらく、マンションと戸建ての比較に関して、さまざまな側面がありますが、ランニングコストに関して言えば、戸建ての方がマンションよりも400万円以上も節約できることがわかりました。
戸建ての場合、管理は個人の責任で行われるため、修繕費用がかさむ可能性がありますが、マンションではエレベーターや階段、駐車場など、一軒家にはない設備のメンテナンスが必要となります。
そのため、修繕積立金も高くなるでしょう。
ただし、マンションには管理費がありますので、放置したままでも綺麗で安全な状態を保つことができるという利点もあります。
どちらが良いかは、個人のライフスタイルや考え方によるため、自分に合った選択をすることが重要です。
また、住宅を購入する際には、ランニングコストだけでなく、他の費用にも注意が必要です。
例えば、登記費用や司法書士費用、手付金など、別途現金が必要になる場合があります。
さらに、住宅ローン控除など、専門的な知識を持って資金計画を立てないと損をする可能性もあります。
そのため、住宅ローンを組む際には、住宅購入の専門家と相談しながら、資金計画を立てることが必要不可欠です。
彼らはあなたの状況に合わせて最適なプランを提案してくれますので、利益を最大限にすることができます。